有限会社 三九出版 - デンマークの風


















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                   デンマークの風
                           臼庭 綾子(東京都中野区)


 アンデルセン童話が生まれた,福祉大国デンマーク。2002年春,私はそのデンマークにある日欧文化交流学院に,押し花講師として招かれました。当時私はウエディングブーケの押し花額(プレストブーケ)を扱う会社のアトリエに在籍し,制作の仕事をしておりました。会社には,結婚式を終えたブーケが届き,一つ一つ写真を撮ってから,花をばらして押し花にし,押し上がったお花を,それぞれの写真を見ながら,貼り絵のように再現,額に仕上げます。
 在籍当初,私は,プレストブーケの美しさに魅了され,作る喜びに充実を感じていましたが,制作を重ねるうちに,1つの疑問を持つようになりました。それは,お客様のお顔が見えないということです。幸せと夢がつまった大切なお花なのに……。さみしさと違和感を感じていました。そんな時に頂いたデンマークのお話。押し花講師兼,学生として社会福祉,文化を学び,2年間過ごしました。
 学院は,アンデルセンの生まれた街からバスで40分。小さな海沿いの町Bogenseにあり,やわらかい春の陽射しに包まれる4月,私の部屋からは,黄色い水仙がとてもきれいに見えました。来たばかりの私にVelkommen!(ようこそ!)と言ってくれているようでした。四季折々の美しい風景,キャンドルのやわらかな灯,そして人々との心のあたたかいふれあい……。デンマークの優しい風を思いっきり受けて,今,押し花作家としての私がいます。
 デンマーク人が大切にしているHyggeという言葉があります。一言では訳せない特別な言葉なのですが,私は,何気ない日常の中に,安らぎや喜びや……ホッと心にあたたかいものを感じた時に使う言葉と理解しました。私はそんなHyggeの心を感じていただけるような作品をお届けしたいと思っています。
 来年は,デンマーク渡航から10年です。今訪れたら,また,新たなHyggeを感じることが出来るでしょうか……。       ―――― デンマークに感謝を込めて。
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