有限会社 三九出版 - 『自己表現は飾らず「本音」で!』


















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『自己表現は飾らず「本音」で!』

松井洋治(東京都府中市)

先般,NHKラジオ「文芸選評おりこみどどいつ」の常連投句者有志20名(私もその1人)による『現代どどいつ自選二十人集“風のしらべ”』が刊行された。この番組の選者を31年間続けられ昨年3月にご退任された「現代どどいつ」の主導者・中道風迅洞先生に序文を戴き,有志各自が上記番組で人選や佳作に選ばれた句を主体に自作品(18〜30句)を刊行委員会に送付。「松井洋治集」が6ページに亘り掲載された小椅麗な本を手にした時,言い知れぬ感動が体中を躯け巡った。
「どどいつ」は「7・7・7・5」の26文字の中での自己表現。俳句より9文字多いが,和歌よりは5文字少ない言葉の中に,自分の思いを入れ込まなければならない。「僕と別れて まだ間もないに 女は出世の 早いもの」という句をご存じの方も多いに違いないが,NHKの文芸選評は「おりこみ」が条件で,毎月出される課題の4文字の単語を,その単語の意味にはとらわれずに「7・7・7・5」の頭に「折り込む」というものだけに簡単ではない。例えば「せともの」という課題の時の拙作は,「席を子供に 取らせる親に モラル説いてる のは子供」という具合である。
ところで,最近,この『風のしらべ』で知り合った同人の方から関西のABC放送(民放)でやはり30年近く続いている「関西版」のどどいつ放送のテープを頂戴したが,驚いたことにNHKでは想像だにできないはどの「本音」の連続である。「帰したくない あなたの膝へ わざとこぼした 未練酒」,「嫌になったら この子をご覧 嫌でない頃 出来た子よ」などなど。もっと放送コードすれすれのものも沢山ある。「自分を表現するのに,何であんたら気取るんや?」「何でA(C)<「ええかつこしい」とお読み願いたい>なんや?」と言われた気がした。
「どどいつ」に限らず,あらゆる文芸で「自分の本音」を伝えたい時,最も避けるべきは,誇張表現と,言い習わされた言葉に頼ってしまうことだ。「もっと自分の言葉で,率直に表現しなさいよ」ということを,改めて思い知らされた次第である。
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