有限会社 三九出版 - 紅葉前線が里まで…


















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紅葉前線が里まで… 

三九出版拝

○ご存じのように秋刀魚,秋桜と書いてサンマ,コスモス,浅墓,亜米利加はあさはか,アメリカと読みます。前者は五月雨(さみだれ),蒲公英(たんぽぽ)と同様に2字以上の漢字を使って1つの意味を表す熟字を訓読みした“熟字訓”であり,後者は漢字の意味とは関係なく読み方を当てただけのもので,いわゆる“当て字”であることも申すまでもありませんが。
○そこで思うのですが,熱字と当て字の違いはどこなのでしょう。それについて述べることはその道のまったくの門外漢である私には僭越すぎることですが,熟字はそれを構成している漢字の意味を,当て字は読みをその以前からあった言葉に当てはめたものと考えてもよいのではないでしょうか。もしそうだとしますと,熟字も当て字の仲間といってもよいように思うのですが…。
○それにしましてもどうして「秋波」を“ながしめ(流し目)”,小誌本号P.4にもあります「郁子」を“むべ”と読むのか,使ったことも見たことも無い私にはわかりません。「アテ」―アテ馬,アテ絵,アテ切(きれ),アテ飲(のみ),そして前述のことはアテずっぽうのアテ外れ?…いったい「アテ」って何モノ?などと考えが飛んでしまいます。
○一昨年の末に私どもは『叱(こ)言(ごと)集 オレ達にも言わせてヨ』を発行しました。その中に「叱言は“こごと”とは読まない!」という叱言があります。確かに,「言」は“こと”とも読みますが「叱」は“こ”とは読まないのですね。しかし,「小言」は何となく他人に対してささいなことを咎めたり,非難したり,ぶつぶつ言ったりというイメージを,「叱言」には大所高所から他人のみでなく自分に対しても発する苦言や提言というイメージを,私どもが勝手に持って使用したものでした。ですから,意味の側からのアテ字と言えるわけです。もっとも,最初に「叱言」が使われた理由とは違うと思いますが。
○その『叱言集』,アテが外れて残本多数。コゴトを言うのはいいが聞くのは嫌い?…ならば「叱言」と書いてコゴトと読んでもらいたいらいたいもの…と。(m)
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