有限会社 三九出版 - 近頃気になる事


















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☆《自由広場》 

             近頃気になる事 

            都竹 茂生(大阪府河南町) 

〔原発事故のこと〕 6年前の3.11大震災で東北地方を襲った津波により多くの方が大変な被害に遭われ,特に福島原発の周辺に住んでおられた方々は今でも大変な苦しみを味わっておられることは皆様ご承知のとおりである。その一方で,こういった大災害への思いが人々の記憶から段々忘れ去られていく事を防ぐ手立てというのを誰か考えてくれないかと思う毎日である。
さて,この福島原発の事故のことが報道されるたびに,私が思い出すもう一つの身近に体験した原発事故がある。
それは二十年以上も昔になるが,1986年4月26日,当時,私は西ドイツに駐在していてその日はたまたま西ベルリンに出張していた時であったが,ソヴィエト連邦(現ウクライナ)のチェルノブイリで発生した原発事故である。
普段であれば私が住んでいたデュッセルドルフからは東ドイツ国内にある西側の陸の孤島である西ベルリンへの出張は飛行機で行っていたのだが,その事故の発生した前日,偶然,仕事のためのサンプル等荷物が多かったこともあったので,東ドイツ国内を通過するトランジットビザを国境で取って,陸路車で行った。日本がこの時期ゴールデンウィークの期間に入るので日本との仕事上の連絡もないことがこの長期出張を企図した側面もあるし,信じられないかもしれないが当時西ドイツからは敗戦国のフラッグの航空会社であるルフトハンザ航空の東ドイツ上空での飛行は認められておらず戦勝国のPAN AM(米国),BA(英国),AIR FRANCE(フランス)の3社しか飛んでいなかったということもある。
もちろん,今と違って当時はインターネットをはじめとする通信環境等もあるはずもなく,西ベルリンにあった日本レストランで読むロンドンで印刷された2,3日遅れの「日経新聞」を読むことと,ホテルで見る駐ベルリン米軍のTV報道(日本のFENにあたるような放送)のみが唯一情報を得る手段であった。加えて出張中には私自身この事故がそれほど大変な事故であることの認識もなく,それが大変な事故だと知ったのはデュッセルドルフに帰る途中,東ドイツとの国境での西ドイツの保険省が行っていた,往来する人だけでなく車そのものについても数時間かけて行った放射能検査を経験したからであった。今でも忘れられないあの事を思い出すと, 2,3年前,次回の東京オリンピックの誘致にあたって,福島原発の事故についてUNDER CONTROLと言い切ってしまったどこかの首相の能天気ぶりにはいささか不安を覚えるというのが私の実感である。
〔森友学園問題に関すること〕 一頃マスコミを賑わしていた私の地元の大阪の「森友学園」の国有地払い下げに関する現政府や大阪府の一連の対応,それに対する野党の追及ぶりの頼りなさについて,正直言って不安を禁じ得ない。(はっきり言っておくが私自身,右でも左でもない中道的な考えを持っていると確信していることを,蛇足乍ら申し添えておきたい。)この問題に関連して,当事者の籠池氏は饒舌で,森友学園の設置申請に関する一連の手順に対する疑惑を別にすれば,彼の持っている思想信条に現政権が当初願ってもないチャンスと飛びついたとしても何の不思議もないことであろう。

〔その他のこと〕 他にも上述の件と全く無関係とも思えぬ気になる事が幾つもある。その主なものを列挙しておきたい。
〇教育勅語で誰もが反対できぬ『親を大切に…。』とか『友達とは仲良く…』といった徳目のみを切り取った,教育勅語是認論。
〇菅内閣官房長官が沖縄県知事に対して米軍基地の辺野古移設に関連して,これ以上異を唱えた場合損害賠償の訴えをも辞さないことを明言したこと。
〇冒頭の原発事故に関連して述べた事とも繋がるが,一度は,はっきり決まった関西電力高浜原発の再稼働禁止が,いつのまにか覆っていること。
〇最近の米,ロ,中に韓国を交えた,どちらかと言えばポピュリズム的な思想がもてはやされ,これに北朝鮮が絡んできた場合我が国にとってももはや無関係ではないということ。

こんなことを思い巡らしながら,どうかこれからの日本を背負って立つ若い人達が我々の親の世代が歩んできた誤った道を辿ることがないよう願うばかりである。 
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