有限会社 三九出版 - 心豊かな生活を送るために


















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☆《自由広場》 

           心豊かな生活を送るために 

             脇 稔明(愛媛県松山市) 

 小売業界の世界(主にスーパーマーケット)に飛び込んで間もなく半世紀が過ぎようとしている。その間,大晦日に休日をもらったのは何と昨年が初めてであった。少々古い話になってしまうが,昨年末とこの年始は,お陰様で心豊かな時を過ごすことができた。
私には,長女に一男二女の3人の孫がいるが,毎年大晦日には家族で我が家に来て夕食を済ませ,「紅白歌合戦」(NHK)を見るのが慣例になっている。 また, 年明けて2日にも小・中学校の孫たちが宿題の書初めを仕上げて帰るのも我が家での作業ときている。そんな中で私の大切な役割は,31日と2日の夕食の主役を作りあげることと,下の孫2人の習字のお手本を書き,何回か練習させ,ある程度満足のいく作品ができるまで指導してやることだ。2日は自分の初仕事なのであまり時間がない。そのため31日に2日の分も作りだめしておくことにして,朝から調理作業に取り掛かった。31日はすき焼き,2日は子供達の大好きなローストビーフと自然薯(山芋)料理に決めた。近くに妻の妹家族が居るので,その分も合わせて作ることにした
私の勤務しているサニー椿道後店は毎月29日(肉の日)が肉の大特価の日なのでその日に素材を吟味し仕込み・買い置きしておき,山芋は12月中旬,近郊の広田村で「自然薯祭り」が実施された時に買い置きしておいて使うことにしていた。
すき焼きとローストビーフは調理に時間はかからないが,山芋料理だけは3時間余手間取る。擂鉢で最低でも2時間は擂りあげないと山芋独特の練ばりときめの細かさが出てこない。山芋料理の美味しさは加えていくだし汁の美味しさで決まると言ってよい。だし汁は昆布とアゴだしでとったスープに干ししいたけを入れ,調味料で甘辛く味付けしておいて山芋と擂り合わせしながら,ほどよい味になるまで少しずつ加えていくのがよい。(擂り上がっている山芋にはじめはほんの少し塩を入れておくとだし汁を多く使用しなくてもよい)。これで出来上がり。今年の山芋汁は十分に時間をかけて擂り上げたのでネバリが強く,大好評であった。
しかしながら,こうして年末年始,孫達家族が我が家で食卓を囲んでにぎやかに過
ごせるのもあとせいぜい3~4年。孫たちが高校生になれば必然的にそんな光景はなくなってゆく。この与えられた3~4年の幸せをかみしめながら,健康に気をつけ家族の厄介者にならぬようせいぜい心がけてゆくことだ,と考えている。
そこで私の健康法だが……。社会人になって40代までは市内の野球チームに加わり,練習したり試合に出たり。また30代後半からは二女が小学生の間,娘の友人等を連れて週2回の知人の空手道場に通い,子供達と一緒になって汗を流したり,会社にあった娯楽室の卓球場では昼食後や休日を利用していつも身体を動かしていた。しかし50歳を過ぎてからは運動とは全く無縁になってしまい,会社の帰りや休日は趣味のマージャンや碁会所通いばかり。55歳に「セブンスター」(松山市にある中堅どころのスーパーマーケット)を定年退職する時,健康診断と体力テストを行きつけの病院でしたところ,幸い健康には異常なかったが体力(握力,腕力,腹筋力等……)は大幅に落ちているのに驚いた。――それから,私の星の丘温泉通いが始まった。
星の丘温泉は道後温泉と違って規模が小さく,情緒もなく,観光客も少ないが,歴とした源泉直接掘り湯で,湯質は道後温泉に優るとも劣らないと云われている。それと健康運動のための施設が数多く設置されている。私はそこに55歳から通い始めて20年間,仕事の休日には一日も欠かさずに通っている。
早朝5時より開店しているので大体6時過ぎに行って,まず腰湯で首,肩の運動。次に洗い場に出てラジオ体操と足腰の屈伸,相撲の四股運動で15分。それから別室の歩行湯に移る。持参のペットボトルの水で口を洗い,吸水し,歩き始める。腰に手を当て,又,頭に手を当て正面歩き,そして中腰になっての後方歩きを「1,2,3~」と数えながら,周囲約30メートルの歩行湯を100周する。これが約50分~55分。40周目ぐらいから汗が出だし,終わった時点では汗びっしょり。それから側にあるジェット風呂で肩,腕をほぐし,対面にある運動する場所で柔軟体操と腕立て伏せ150回して完了。その間合計で1時間30分。それからまた大衆風呂に戻り身体を洗い,湯舟には浸からずに脱衣場に戻る。
これが約週に2~3回,20年間続けている私の唯一の健康法であるが,その間一度も体調を崩したことなく, 今勤めている会社も無遅刻無欠勤,毎度の食事も美味しい。家族の厄介者にならないばかりでなく,老後の生活を心豊かに送るためにも,この健康法を85歳までは続けたいと思っている。 
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