有限会社 三九出版 - 読書は知・理性をつくる肥しである


















トップ  >  本物語  >  読書は知・理性をつくる肥しである
☆〔新作●現代ことわざ〕 

          読書は知・理性をつくる肥しである 

             佐藤 辰夫(東京都青梅市) 

 私は中学生の頃,「どんな本でも,ジャンルは問わず,2000冊の本を読んだら,人の前で話すことができる。読書は大事だ」と読んだことがある。その通りと思い,読書を開始,2000冊読むのにどのくらいの年月かかるかと考えた。週1冊読むと,一年に50冊, 2000冊は40年。これでは人前で話せるまでに人生が終わってしまう。が、とにかく読書に専念することにした。自由な時間はもちろん勉強の合間にも読書し,「三国志」「チボー家の人々」……など小説やドキュメントものに目を通した。読み始めると読書が楽しみになってくる。先ずは有名な著作から。昔のカバヤ文庫(※)を思い出す。大きな試験を前にすると,読書が進む。大学の受験時は特に進み,お陰で1年浪人してしまった。忘却した多くの書物の中でも特に,「バルムの僧院」「赤と黒」等々,読み始めると週1冊どころか,一日2冊の日があるほどのめり込む。そして読書が別の世界に自分をいざない,何とも満足した自分を確立できるのではと気がつく。
 本を読むと参考文献の紹介があり,これなどは大変大きな示唆を与えてくれ,最近は特にインターネット経由で図書館でしかお目に掛かれない,沢山の書籍が手に入る世になった。結果現在まで10000冊を超えていよう。評論家で田中角栄を調べた立花隆は,40000冊という,15坪3階建ての書庫に一杯になったという。到底その域には達しないが今この時点で思い出せない多くの,書籍たち。学校の,市町村の,大学の図書館等多方面のソースがある。これを利用し,今後も読書の楽しさを人生の喜びとして継続したい。
 縁あり今は療養型病院・診療所を経営する身,文系の自分が医師を始めとする自然科学系の多くの職員と意見を交わす機会に,この読書の経験が大いに役立つと実感。卑近な言葉の例だが,「外科的侵襲」「ウンテンとオーベン・ゴプロッカー」等,言葉の理解が容易になる等である。
 最後にラルフ・ワルド・エマーソンの言葉を添えてこの項を手締めたいと思う。「これまでに取った食事と同じで、これまでに読んだ書物をいちいち覚えていない。そうだとしても,その書物たちが今ある私をつくった。」
※カバヤ文庫:岡山・カバヤ食品の1箱10円のキャラメルを買うと点数券が入っていて,それをためて送るとワクワク期間のあと届いた。昭和27年から29年まで刊行。 
投票数:10 平均点:10.00
前
前に,明日に向かって
カテゴリートップ
本物語
次
〔新作●現代ことわざ〕

ログイン


ユーザー名:


パスワード:





パスワード紛失