有限会社 三九出版 - 還暦盛春駆ける夢  包丁砥ぎ屋で社会貢献


















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還暦盛春駆ける夢  包丁砥ぎ屋で社会貢献
                佐藤 弘(千葉県柏市)

小生は70歳まである病院で植栽の維持管理をしながら,柏市環境部クリーン推進課のボランティアとして,家具の修理,庖丁砥ぎ,自転車の修理等のリサイクル教室の講師を務めていたが,70歳を機にすべての職から手を引いた。それから読書などをしながら1か月ほど過ごしたが,家に閉じ籠っているのに飽きてしまった。それで何かをしようと考えた。「何か」と言っても何でもよいわけではない。現役時代の経験を生かすこと,地域社会の問題解決に役立つこと,そしてさらに,単なる趣味やボランティアでは物足りないことなどを踏まえて,コミュニティービジネスをしようと思い立った。もちろん普通のビジネスほどの収入がなくてもよい,まずは生き甲斐を持つことが大切と考えたわけである。
まず,前職時に福利厚生の一環として毎年の暮れに社員に包丁を砥いでやって非常に喜ばれた体験があることを思いだし,それを“業務内容”(仕事)とすることにした。そして市場調査から開始である。単価の設定・作業機材の選定・集客力・作業日数をその主な項目とした。調べた結果,単価については,一般家庭用の包丁は業者によって500円,700円等があり,そこからコミュニティービジネスに適う価額を市価の30〜40%引きとして,刃の長さによって1丁300円〜500円が妥当と思い,そのように決めた。また,作業機材はリョウビ社製の研磨機2台(荒と仕上げ/これで1日に50〜60丁砥げる),集客力の点からスーパーの店頭営業が最適と決めた。最後に作業日数であるが,身体は至って健康だが年齢を考慮して週3日が適量とした。
これらのことを資料として揃え,リサイクルの一環として社会貢献にも繋がることを強調しながらスーパーの店長に面談した。その店の反応は,砥げない人が多いのでお客様のサービスになる・他店との差別化となる・当店では手で砥いでいるが店員の労賃(1丁に掛かる研磨時間が15〜20分)と比較してコストが安い,ということ。
このようなことで,平成19年2月にスタートして平成21年1月までの間に10店舗で刃物砥ぎを行うようになった。使い捨て経済の弊害が家庭の包丁や鋏にまで及んでいる現在,砥ぎ屋の存在は欠くべからざるものと考える。錆びて放り投げられている包丁も砥げば使えるのである。昨年は私の技術指導で一人のシニアー男性が独立した。これからも世に役立つ砥ぎ屋として貢献し,充実した日々を送っていく所存である。
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