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本物語

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第25号 2009.5.25

父と山野草と

白井 榮一

山菜の好きだった父は,野山の山菜の季節が過ぎ去ったときのためにワラビやフキを塩漬けにして保存食としていた。その父が48歳の若さで胃癌のために「天の風」となってしまったが,その後,ワラビにはビタミンBを破壊するアノイリナーゼという成分,また発癌性物質が含まれていることを知り,父の死とワラビの間には相関関係があったのでは,などと思ったりしている。
しかし子供の頃の山菜取り遊びで馴染んだ野草に対する親しみは薄れることがない。
牛や馬の有毒・無毒を嗅ぎ分ける本能は凄いものだそうだが,きれいに食べ尽くされた放牧場でもワラビやレンゲツツジ,スズランは食べられずに咲き誇っている。
また,クマガイソウ,アツモリソウのように豪華絢爛な戦国絵巻を思わせ,無常をも感じさせる名前や,タヌキマメ,ウナギツカミ等々の愉快な名を持つ野草もある。
父と自然から学んだ山菜・野草が持っている魅力をこれからも楽しんでいきたい。
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