本物語
第47号 2014.10.30
田宮牂(そう)斎(さい)の墓と天誅組の変(1)
岡本 崇
泉州熊取の岸和田藩大庄屋・中左近と,富田林の酒造業・仲村徳兵衛の間で婚姻トラブルが発生。この時,攘夷学者として,この二人と面識のある大和五條の森田節斎が調停を,徳兵衛に依頼された。五條から節斎のお供をして来た吉田松陰が,天誅組の変(1863年8月17日)の10年前の2月から3月末まで,22日間も仲村家に滞在し,中家には3日間滞在した。私の母の実家は天誅組縁の高取町にあるが,富田林の杉山総本家から養子に来ている。歌人,石上露子の生家・杉山家とその隣の仲村家は酒造業者仲間であった。仲村家は河内の水郡善之佑と親戚であった関係もあり,徳兵衛の子,徳次郎も善之佑・英太郎父子と共に天誅組に参加した。松陰は岸和田藩士とも多く会っているが岸和田藩大目付の宮内家には私のイトコが嫁いでいる。彼女の実家(廣海家)の祖母は,下市町の広瀬屋(明治28年,当主,永田藤平は吉野銀行頭取となる)から来ているが,ここが彦根藩の本陣にされたので,天誅組との戦で焼失した。岸和田藩は8月に河内へ,翌年の6月には大坂へ出兵した。但し,明治元年の戊辰戦争では新政府軍として参戦した。
〈伴林光平の密書〉 田宮牂斎たちは,伴林光平からの密使を熊取に迎えて,出立したと云われるが,その,光平からの密書と歌は,岸和田市の櫛本家所蔵品だった。当主が亡くなり牂斎の二男,安太郎が養子に行っている河井家に移された。それを,牂斎の長男,貞治の孫にあたる,田宮幹夫が写真撮影した。田宮幹夫氏は現在,岩国市在住で,岩国市観光振興課でボランティアガイドをしているが,奥谷の曾祖父の墓参には毎年来ている。石碑の側面には,牂斎の娘婿の初代校長,櫛本嘉作が墓誌を刻んでいる。「学を好み、医を業とした…」と記されているが天誅組の事には触れていない。田宮一族の中には,難を逃れるため,改姓して他へ移って行った者もいる。堺の足袋屋,福助の元祖,辻本福松もその一人と伝えられている。田宮幹夫家は「揚庵の田宮」と呼ばれている。牂斎が蘭方医になった経緯は,37代,秀實の長女,於順が,信達岡仲村の蘭方医,松下玄章方へ嫁いでおり,その流れが揚庵家と繋がっているから。
〈墓を建てた人々〉 フルーツロード際の岡本政太郎家の墓と岡崎家の墓の丘の頂上に,石室付の立派なお墓がある。墓石の下には7名の名前が刻まれている。岡本儀三郎(徳永)は,西吉野町西新子(旧新子村)の岡本崇の曾祖父。岡本政太郎は儀三郎の弟で,奥谷村の岡崎家の本家に当たる人。仁司家25代目の仁司與逸(市)家は,儀三郎の家の下にあるが,こちらは,儀三郎の9代前の本家筋。井上専次郎は平沼田村に居た医者。儀三郎の父,岡本徳兵衛が天誅組の変の翌年に西国札所巡りに出かけた時,光明寺発行の往来手形にある「新子村年寄 専次郎」というのは,福西専次郎であろう。奥谷村の曽和延嘉家の祖には,曽和豊三郎と云う方が居たという。奥谷村にある井上家を「坊」と呼んだと云われるが,周という名前は不詳。
(次号に続く)
〈伴林光平の密書〉 田宮牂斎たちは,伴林光平からの密使を熊取に迎えて,出立したと云われるが,その,光平からの密書と歌は,岸和田市の櫛本家所蔵品だった。当主が亡くなり牂斎の二男,安太郎が養子に行っている河井家に移された。それを,牂斎の長男,貞治の孫にあたる,田宮幹夫が写真撮影した。田宮幹夫氏は現在,岩国市在住で,岩国市観光振興課でボランティアガイドをしているが,奥谷の曾祖父の墓参には毎年来ている。石碑の側面には,牂斎の娘婿の初代校長,櫛本嘉作が墓誌を刻んでいる。「学を好み、医を業とした…」と記されているが天誅組の事には触れていない。田宮一族の中には,難を逃れるため,改姓して他へ移って行った者もいる。堺の足袋屋,福助の元祖,辻本福松もその一人と伝えられている。田宮幹夫家は「揚庵の田宮」と呼ばれている。牂斎が蘭方医になった経緯は,37代,秀實の長女,於順が,信達岡仲村の蘭方医,松下玄章方へ嫁いでおり,その流れが揚庵家と繋がっているから。
〈墓を建てた人々〉 フルーツロード際の岡本政太郎家の墓と岡崎家の墓の丘の頂上に,石室付の立派なお墓がある。墓石の下には7名の名前が刻まれている。岡本儀三郎(徳永)は,西吉野町西新子(旧新子村)の岡本崇の曾祖父。岡本政太郎は儀三郎の弟で,奥谷村の岡崎家の本家に当たる人。仁司家25代目の仁司與逸(市)家は,儀三郎の家の下にあるが,こちらは,儀三郎の9代前の本家筋。井上専次郎は平沼田村に居た医者。儀三郎の父,岡本徳兵衛が天誅組の変の翌年に西国札所巡りに出かけた時,光明寺発行の往来手形にある「新子村年寄 専次郎」というのは,福西専次郎であろう。奥谷村の曽和延嘉家の祖には,曽和豊三郎と云う方が居たという。奥谷村にある井上家を「坊」と呼んだと云われるが,周という名前は不詳。
(次号に続く)