本物語
第50号 2015.7.30
大阪都構想と住民投票に思う
阪本 衛
本年5月17日,史上初の大阪市民による住民投票が行われた。予てより「決められる民主主義」を標榜していた橋下徹大阪市長の念願が実現したものであった。しかし彼が提起した「大阪都構想」は賛成694844票,反対705585票,10741票の差で実現せず,橋下氏はいわば敗者となった。そして彼は「反対派を潰すとまで言ったが,こちらが叩き潰された」という言葉を残し,政界引退の意向を表明した。
大阪国際空港や地下鉄網,幹線道路,港湾等の整備・重化学工業化を推進した。私は,松下村塾の門下生同様,橋下氏が「都構想」を皮切りに日本全土に改革を行う明治維新の再来を実現することを願い,期待したのであった。ところが,反対派の①メリットがわからない,②住民サービスが悪くなる,大阪市がなくなる,というような対案の無い,抽象的なネガティブキャンペーンが高齢者の不安を煽ったようで,高齢者票が圧倒的に都構想反対に投じられ、反対派の勝利につながった。本来なら二重行政,税金の無駄遣い等,以前の大阪市政を打破するために橋下氏を選出した多くの有権者がもっと橋下氏を支えるべきではなかったかと思うところもある。
それにしても,‟敗者”となった橋下市長は,「結果を重く受け止める。僕自身の力不足」との弁を述べていたが,その表情は明るかった。死力を尽くして戦ったアスリートを見るようで,むしろ清々しかった。一方,本来なら満面の笑みで勝利を誇るはずの勝者(都構想反対派)に笑顔はなかった。反対運動の中心を担ってきた柳本自民党市議団幹事長(公明・民主・共産支持)は,「大阪市の現状を変えたいという大阪維新の会の主張が多くの市民の心を揺さぶったのも事実。地に足のついた市政を心がけていきたい」というコメントが精いっぱいだった。この両者の違いは一体何を意味しているのだろうか。また,自民・共産が共同歩調をとったのも不可思議に映った。
昔,大坂の町衆はお金を出し合って「往来安全」の行燈を軒先に掲げ,夜中でも町中が昼間のように賑わったと言われている。これは江戸や京にもない風習で日本中を驚かせ,今も自治精神の象徴として語り継がれている。その自治精神で行政に頼らない経済大都市大阪を目指してほしいと願っている。幸いなことに大阪には,中国・台湾をはじめとしたアジア系観光客が,宿泊するホテルが足りないぐらい大挙して訪れている。アジアの人達の日本への玄関口として,今後大阪がビジネスチャンスを広げる可能性が高い。行政には都構想の代りとなる大阪市のグランドデザインを早急に提示してもらい,市民(住民)はそれについて徹底的に検証すること,市民不在の市政にならないように監視することが重要である。その点では,多くの若者と自民党支持者の40%が賛成したという今回の住民投票に一筋の光明を見出した思いもあるが。
“都構想”は,全国的に大きな注目を集めたことから,自治制度改革に影響力を持ち続けると思われたが,急速にしぼんだ感もある。その現状を憂えるとともに,橋下氏の国政への進出を期待してやまない。
大阪国際空港や地下鉄網,幹線道路,港湾等の整備・重化学工業化を推進した。私は,松下村塾の門下生同様,橋下氏が「都構想」を皮切りに日本全土に改革を行う明治維新の再来を実現することを願い,期待したのであった。ところが,反対派の①メリットがわからない,②住民サービスが悪くなる,大阪市がなくなる,というような対案の無い,抽象的なネガティブキャンペーンが高齢者の不安を煽ったようで,高齢者票が圧倒的に都構想反対に投じられ、反対派の勝利につながった。本来なら二重行政,税金の無駄遣い等,以前の大阪市政を打破するために橋下氏を選出した多くの有権者がもっと橋下氏を支えるべきではなかったかと思うところもある。
それにしても,‟敗者”となった橋下市長は,「結果を重く受け止める。僕自身の力不足」との弁を述べていたが,その表情は明るかった。死力を尽くして戦ったアスリートを見るようで,むしろ清々しかった。一方,本来なら満面の笑みで勝利を誇るはずの勝者(都構想反対派)に笑顔はなかった。反対運動の中心を担ってきた柳本自民党市議団幹事長(公明・民主・共産支持)は,「大阪市の現状を変えたいという大阪維新の会の主張が多くの市民の心を揺さぶったのも事実。地に足のついた市政を心がけていきたい」というコメントが精いっぱいだった。この両者の違いは一体何を意味しているのだろうか。また,自民・共産が共同歩調をとったのも不可思議に映った。
昔,大坂の町衆はお金を出し合って「往来安全」の行燈を軒先に掲げ,夜中でも町中が昼間のように賑わったと言われている。これは江戸や京にもない風習で日本中を驚かせ,今も自治精神の象徴として語り継がれている。その自治精神で行政に頼らない経済大都市大阪を目指してほしいと願っている。幸いなことに大阪には,中国・台湾をはじめとしたアジア系観光客が,宿泊するホテルが足りないぐらい大挙して訪れている。アジアの人達の日本への玄関口として,今後大阪がビジネスチャンスを広げる可能性が高い。行政には都構想の代りとなる大阪市のグランドデザインを早急に提示してもらい,市民(住民)はそれについて徹底的に検証すること,市民不在の市政にならないように監視することが重要である。その点では,多くの若者と自民党支持者の40%が賛成したという今回の住民投票に一筋の光明を見出した思いもあるが。
“都構想”は,全国的に大きな注目を集めたことから,自治制度改革に影響力を持ち続けると思われたが,急速にしぼんだ感もある。その現状を憂えるとともに,橋下氏の国政への進出を期待してやまない。