本物語
第72号 2022330
語り部講話とそれを聞く人々
大谷 慶一
私は10年前から東日本大震災の語り部として活動していますが,語り部講話では津波について次のようなことをよく話します。
① 不思議である。(その1):なぜ,海の底が見えるのであろうか?と,津波で海の底を見た話をすると,多くの人は「海が引いたんですね!」と感想を洩らします。最初のころは,当然の反応だと思っていました。
ところがある時,ふいに違和感を覚えました。それは,次の②ようなことです。
② 不思議である。(その2):なぜ,海水が引くのだろうか? そもそも,あれは引いているのだろうか? なぜ? なんでひくの? 誰かが,何かが沖の方から引っ張っているの?
③ 私は,あのとき見た光景を忘れられない。海は 真黒(まっくろ)。白波は 水平線の方へ向かっている。波の向こう側には海の底が見えている。あり得ない景色が,目の前に広がっている。思い返す度に,やっぱりあれは夢だったのではないのか? と思ってしまいます。
④ 水は,高い所から低いところへと流れます。なので,波打ち際よりも沖側の方に,より低い地面があるはずです。なぜ,沖の方に低地が有るのか? 何年もの間,堂々巡りを繰り返していました。
⑤ 突然,閃きました。 津波って 波だよな! 海溝プレートの跳ね返りによって引き起こされた 大きな波だよな! 波であれば,山もあれば谷もあるよな! 津波の波長は,かなり長いとも聞くよな! (あの3.11のとき,この地に押し寄せた津波の第一波は15時10分 第二波は15時27分でした)
⑥ 私たちが 津波をイメージした時,まず思い浮かべるのは,津波の山の部分がドーンと陸地に押し上げる場面だと思います。しかし,波の谷の部分もまた,押し寄せて来るのです。波の谷の部分が,海底に達した時に,海の底が見えるのです。
私が見た,水平線に向かっていた波。陸地に押し上げていた「水塊」(水のかたまり)が,その位置エネルギーによって,低い場所に流れ込んでゆく状態。これこそが,引き波に見える,見えてしまう現象なのです。
⑦ 《津波は,引かない!》 引いているのではない! 位置エネルギーの原理で,落下しているのである。
⑧ 《科学は想像力による「仮説」からスタートする》 ど田舎の片隅に巣喰らうている爺ーの想像である。
⑨《閑話休題》 波の高さの話について次のようなことを質問したりしております。
Q1 津波の高さとは?⇒その日その時間の,通常の海面を基準として,そこからの高さを表示する。
Q2 津波の遡上高とは?⇒陸地,川に這い上がった最高地点の高さ。通常、津波高より数倍高くなる。
Q3 天気予報で言うところの波の高さとは?⇒波の最高点と最低点の差を表す。
Q4 潮汐高とは?⇒長期間の最低水面測定値の平均値が基準。そこからの+-の高さ。月と太陽の引力によって生じる,干潮・満潮を日に2回ずつ繰り返す。
以上のような津波の話の他に,私が裏山にある神社への石段を上って命が助かった話や,我が家やいわきの被災の様子についても話しますのは言うまでもありません。
そしていつも最後には次の提案をします。「皆様が日常生活をしているその時,その場所で,皆様の身に生命の危機に関わる災害が迫ったら,どのような行動を起こしますか? 頭の中でシュミレーションしてください。スイッチを押す訓練です。生存本能を鍛える訓練です。危機回避のイメージトレーニングです。」と。 私が一貫して主張していることは,自分の命を守ることについてです。災害にはいろいろな種類がありますが,その災害から逃げなければならない「時」というものがあります。いつ,どのタイミングで逃げるスイッチを押すか? そのスイッチを押すことができるのは自分自身だけなのだからです。
このような話を続けて十年になります。聞いてくださる皆様の反応は様々なのですが,どなたも真剣に耳を傾けてくださるのは,十年前も今も,変わりません。
<追記> これからは次のことも付け加えて話します。
今年,2022年の1月15日トンガで,海底火山の噴火。気圧の急激な変化で津波が発生した。こんなこと,初めて聞きました。こういうこともあるのですね。
① 不思議である。(その1):なぜ,海の底が見えるのであろうか?と,津波で海の底を見た話をすると,多くの人は「海が引いたんですね!」と感想を洩らします。最初のころは,当然の反応だと思っていました。
ところがある時,ふいに違和感を覚えました。それは,次の②ようなことです。
② 不思議である。(その2):なぜ,海水が引くのだろうか? そもそも,あれは引いているのだろうか? なぜ? なんでひくの? 誰かが,何かが沖の方から引っ張っているの?
③ 私は,あのとき見た光景を忘れられない。海は 真黒(まっくろ)。白波は 水平線の方へ向かっている。波の向こう側には海の底が見えている。あり得ない景色が,目の前に広がっている。思い返す度に,やっぱりあれは夢だったのではないのか? と思ってしまいます。
④ 水は,高い所から低いところへと流れます。なので,波打ち際よりも沖側の方に,より低い地面があるはずです。なぜ,沖の方に低地が有るのか? 何年もの間,堂々巡りを繰り返していました。
⑤ 突然,閃きました。 津波って 波だよな! 海溝プレートの跳ね返りによって引き起こされた 大きな波だよな! 波であれば,山もあれば谷もあるよな! 津波の波長は,かなり長いとも聞くよな! (あの3.11のとき,この地に押し寄せた津波の第一波は15時10分 第二波は15時27分でした)
⑥ 私たちが 津波をイメージした時,まず思い浮かべるのは,津波の山の部分がドーンと陸地に押し上げる場面だと思います。しかし,波の谷の部分もまた,押し寄せて来るのです。波の谷の部分が,海底に達した時に,海の底が見えるのです。
私が見た,水平線に向かっていた波。陸地に押し上げていた「水塊」(水のかたまり)が,その位置エネルギーによって,低い場所に流れ込んでゆく状態。これこそが,引き波に見える,見えてしまう現象なのです。
⑦ 《津波は,引かない!》 引いているのではない! 位置エネルギーの原理で,落下しているのである。
⑧ 《科学は想像力による「仮説」からスタートする》 ど田舎の片隅に巣喰らうている爺ーの想像である。
⑨《閑話休題》 波の高さの話について次のようなことを質問したりしております。
Q1 津波の高さとは?⇒その日その時間の,通常の海面を基準として,そこからの高さを表示する。
Q2 津波の遡上高とは?⇒陸地,川に這い上がった最高地点の高さ。通常、津波高より数倍高くなる。
Q3 天気予報で言うところの波の高さとは?⇒波の最高点と最低点の差を表す。
Q4 潮汐高とは?⇒長期間の最低水面測定値の平均値が基準。そこからの+-の高さ。月と太陽の引力によって生じる,干潮・満潮を日に2回ずつ繰り返す。
以上のような津波の話の他に,私が裏山にある神社への石段を上って命が助かった話や,我が家やいわきの被災の様子についても話しますのは言うまでもありません。
そしていつも最後には次の提案をします。「皆様が日常生活をしているその時,その場所で,皆様の身に生命の危機に関わる災害が迫ったら,どのような行動を起こしますか? 頭の中でシュミレーションしてください。スイッチを押す訓練です。生存本能を鍛える訓練です。危機回避のイメージトレーニングです。」と。 私が一貫して主張していることは,自分の命を守ることについてです。災害にはいろいろな種類がありますが,その災害から逃げなければならない「時」というものがあります。いつ,どのタイミングで逃げるスイッチを押すか? そのスイッチを押すことができるのは自分自身だけなのだからです。
このような話を続けて十年になります。聞いてくださる皆様の反応は様々なのですが,どなたも真剣に耳を傾けてくださるのは,十年前も今も,変わりません。
<追記> これからは次のことも付け加えて話します。
今年,2022年の1月15日トンガで,海底火山の噴火。気圧の急激な変化で津波が発生した。こんなこと,初めて聞きました。こういうこともあるのですね。