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本物語

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第72号 2022330

『箱物』脱出への試み

水澤 葉子

 この『本物語』第70号に「文学資料館という箱物」なる一文を載せていただいた会』は、とても難しいと思います、とあった。震災前に「島尾敏雄を読む会」を実施し、市の広報で呼びかけ、島尾さんのご親戚の方が講師となられて、なんとか終わしたという感じだったのです。その後『埴谷作品』も一年やりましたが、これは島尾さんと比較にならない壊滅的(この表現はとても印象に残った)状態でした、と。そして陳情先,企画書の内容等についてT氏は元担当者であっただけに,懇切に書き添えてくれていた。その書簡の中に,光明的一文を見つけ,わたしは少しだけ救われた気がした。こう記してある。
 昨年6月の市議会で、とある議員が『文学資料館』の運営についてこんな質問をした。あの施設は運営が止まって居る。回すことのできる専門職を配置しなければならないと考えるが、教育行政としてはどう考えているのか。ただの事務職配置ではもったいない、と。それに対し,専門職を配置すべきと考えるとの回答がなされたという。もしかして,と元担当者T氏はつぶやく。もしかして私が戻される可能性はゼロではありません。が、行政の人事は非情なものです。議会の答弁がその通り実行される保障は何もありません――。そういうことなのですね。
この年初めは,これだけ非情なコロナ禍にありながら何か慌ただしい流れで過ぎようとしている。月の後半に資料館の存する市で市長選があった。前回と全く同じに一騎打ちとなり,これもまた前回と同様に僅差で保守の現職が勝った。少し詳細に説明すれば,3.11の被災時に市長だったのが先日僅差で敗れた人物なのである。二期続けて席を失ったということになる。 個人的には存じ上げないし,居住が80キロ離れた福島市なので日常生活に影響はないけれど,しかし,とても興味ある人物としてそれとなく期待はしていたのだったが……。『読む会』の企画を持ち込むのに保守では如何なものだろうか。いやいや,そんなことは当たってみなければわからない。
 そうです。それでもわたしの信頼するT氏が資料館に復帰する可能性はゼロではないのです。わたしはわたしの目標とする『読む会』実行に向け,為すべきことを順序に従ってシュクシュクと書類を作成し,アンドロメダ忌に埴谷記念館の館長に会うべく準備に早速とりかからねばと思っている。
 次回に,いい結果報告を書きたいですね。    
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