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本物語

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第75号 2023.3.11

傘寿の歳を迎えて

阪本 衛

 昨年,私は齢八十,傘寿を迎えました。これを機に頭の中を「平均寿命」から「健康寿命」にギヤーチェンジして,
毎日8000歩のウォーキングを日課として日々その達成に喜びを感じています。
 申すまでもありませんが,ウォーキングと言いましてもただ歩くだけでは苦(・)が伴います。やはり歩くことを楽しむ
ことが大事と考え,歩いている間に見える風景を楽しんだり,行き交う人々の様子などを拝見しながら歩を進めることにしております。
 私の住まいは「水の都」大阪を代表する旧本流となる河川・大川のリバーサイドに位置し,南側には大阪城を拠点とした桜宮橋があり,その橋架をスタートに大阪城を周遊しています。大川をゆったりと航行する船舶が行き交う河川を眺め,途中の公園では親子で遊ぶ子供の笑い声,少年野球チームの若者の声を耳にし,園内にある池の水面に浮かぶ鴨を眺めては一休み。また歩いて大阪城を背にリバーサイドに聳え立つ帝国ホテルでちょっと贅沢なコーヒータイム。私の至福のひとときです。そして自然の香が「ゆったり,ゆったり」「一休み一休み」と八十歳の私に語りかける中,歩みを進め,豊臣秀吉がこよなく愛し崇敬を受けた大阪城守護社の櫻宮神社を到着地点として,そこで心から清められる参拝です。
 特に大川は春には両岸桜回廊,夜桜で人々の賑わい,夏には日本三大祭の一つ大阪天神祭の船(ふな)渡御(とぎょ)の祭囃子が聞こえ,秋には銀杏や紅葉のトンネルをくぐり,道には落葉樹の葉が絨毯化した歩道を踏みしめ,冬には凛として佇む大阪城があり,これらの四季の景観は見応えがあり,大阪に生まれ育った私の,大阪人の誇りとして,今日もまた,散歩を楽しんでいます。
 とは言いましても楽しいばかりのウォーキングではありません。昨年は特に次の二つの出来事が頭の中から離れないまま歩き通したことがしばしばありました。
 先ずコロナ問題が最大事です。令和元年の年末に中国武漢から生み出された後,中国の隠蔽体質のためか,瞬く間に世界に拡散しました。今尚第八波流行懸念など,その災禍は日本も含め世界中でその終息の気配が見えません。わが国では,緊急事態宣言の外出自粛の呼びかけや,遊興施設や商業施設等,幅広い業種に休業要請等を実施し,医療関連に於いても入院病床,医療物質の不足への対応,社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保やマスクの着用,自宅勤務でのテレワーク等々,さまざまな感染リスクを回避する動きが広まりました。そしてその効果が予測できるようになりましたのでしょうか,最近では,首相指示により,平時の日本を取り戻していくためにさまざまな政策措置を段階的に移行し,さらに現在の結核並の「二類」相当から季節性インフルエンザ並の「五類」に今春引き下げるということになりました。政界も新型コロナウイルス感染症との闘いに明け暮れたものと推測しております。
 それから二つ目ですが,昨年令和4年7月8日午前11時過ぎの,安倍晋三元総理
の銃撃事件です。これには,私は大きな衝撃を受けました。月刊『Hanada』の花田編集長は『安倍晋三写真集』発刊で以下のような一文を書かれておりました。「安倍総理の突然の死は悔やんでも悔やみ切れません。今、大切な時に、日本は、世界は、かけがいのない人を失いました。無念です」と。
 誰に対しましても毀誉褒貶は付きものです。確かに,安倍元総理は森友学園,加計学園,桜を観る会,旧統一教会の問題,更には国会での言動の一部に,首相としてその人柄を疑われるようなことがあったかもしれません。しかし一方,「美しい国、日本を心から愛し誇りを守り抜こう」と世界中を駆け回った精力的な外交活動,アベノミクスに見られるような経済復興の努力,東日本大震災の被災地への頻繁な慰霊訪問等々,国家国民に対する尽力は計り知れないことも事実です。こうしたことを勘案しましても私は,安倍総理は志高い指導者であり,信念の政治家であった,誠実で笑顔
になる人であったと思っておりますが,皆さんはどうお考えでしょうか。
 それからもう一つ,安倍晋三元首相の国葬のことです。この国葬に反対の方の数が賛成の方のそれより圧倒的な多数を占めたということですが,その反対の理由の中には「経費がかかりすぎる」(金銭の問題?),「税金の無駄遣い」(人格や功績の問題?)というのも多くあったようです。国葬にするかどうかを金銭で決めるのはどうかと思いますし,人格や功績を計る基準は明確でないのではないのでしょうか。この点について,「反対」の方々のお考えをお聞かせいただければと思っているところです。
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