本物語
第78号 2024.3.31
『英語名言の人生論』
増山 健一
二十年前,定年近くになって,定年後に何をやって人生を充実させるべきかという強い思いに囚われた。何の技能も金もコネも持っていないということは分かっていたし,年金で細々と静かに暮してはいけるだろうが,それでは誠につまらないと思ったのである。色々考えて,ふと英語だ,今や国際語となっている英語を使って小さな仕事でも,生意気なのだが,英語を介して人間研究でも面白いのではないかと仄いた。丁度その頃,妻を癌で失い,悲嘆に暮れたが,心機一転懸命に英語の勉強を始めた。地元の英会話クラブに参加し,私同様酒好きだったアメリカ人講師の一人とは個人的につき合い,居酒屋通いもした。並行して英語の受験勉強もやり,各種の英語資格を取り,最終的に米軍横田基地内のメリーランド州立大学に通った。その二年後,クラスメイトの女性に協力を乞い,英会話喫茶 Ken’s English Café をオープンし,細々と,だが十年が経った。
よく言われることだが,日本人の常識,生活様式,哲学,人生観が必ずしも世界普通のものではないということに,外国人との交流の中で思い知らされてきた。その中でも親しかった米軍人Mとは種々な話,例えば宗教的論考も政治の話も人種の話も食物の話も,差別的にならない様に注意しながら,できるだけ何でも話題にした。アメリカ人は一般的にはフランクで陽気だと思うのだが,プライバシーや差別については大変気を遣って言葉を選んでいることにも気付いた。年齢はまず尋ねない。日本人の好きな,他人の噂話もしない。
そのMとのいろいろな話の中で彼からよく言われた。“I don’t think so,Ken”(俺はそうは思わないよ,ケン)と。その言葉をタイトルにしたエッセイ集,『I don’t think so,Ken』が私の最初に出版した本である。英会話喫茶 Ken’s English Café という喫茶店のような英語塾のような商売をやりながら,日本と欧米の文化の違いをまとめてみよう,できれば本にして再び出版しようと思うようになった。飽きやすい私にしては根気強く資料を集め,辞書も調べ,日本の諺も捜した。理解できない英文諺は知り合いの米人に尋ね,聖書の言葉について牧師にも確認し,出版システムや消費税にも気を使った。そしてやっと完成,出版できた。構成は,英語の諺に聖書の言葉やイソップの話を加え,名言140個をテーマ別に分類し,日本の諺や笑話を対応させ,私の感想を述べたものである。タイトルは,『英語名言の人生論 ― 諺は人間に忖度しない』とした。( Ken’s English Café 090-1800-9295 発行 )しかし,自費出版で消費税も取らないので,書店には置けない。知人友人に個別行商するばかりである。
諺は,人間に優しく配慮はしない。厳しく真実を語る。内容を少し紹介したい。
Marriageの項目で,
“To marry young is too early,to marry old is too late.”(若くして結婚するのは早すぎる。年取ってするのはおそすぎる。)
これは日本の諺には無いような気がする。さらに
“A woman is an angel at ten,a saiat at fifteen,a devil at forty,and a witch at fourscore.”(女は10歳で天使,15歳で聖者,40歳で悪魔,80歳で魔女)
こんな恐ろしい諺も日本には無い,と思う。確かに人間の気持を忖度していない。これが真実だと厳しく言い放つ。我々日本人には理解しがたいものもある。
Deathの項目で,
“Blessed are the dead that rain rains on.”(雨の日に埋葬される者は,祝福される。)
動物愛護は,今日のヨーロッパでは否定できない考え方であるが,不思議な事に英語の諺の中には犬を罵倒し,攻撃する諺が多い。何故なのか私は知らない。最近のアメリカンジョークを見つけたが,実はどう訳したら良いか分からない。
“On the Internet,nobody knows you’re a dog.”(ネットの世界では,お前がdogであることを誰も知らない。)
「あとがき」に書いたが,英語を学ぶということは,英単語を覚えたり英文法を理解することではなく,英語で人生を過ごしている人々の考えを知ることであると私は確信している。テーマは膨大深遠であり,私の勉強不足も理解不足もあって,「木を見て森を見ず」の愚を犯しているかも知れない。それでも本書が皆様の思索のささやかなキッカケとなれば望外の幸せである。
よく言われることだが,日本人の常識,生活様式,哲学,人生観が必ずしも世界普通のものではないということに,外国人との交流の中で思い知らされてきた。その中でも親しかった米軍人Mとは種々な話,例えば宗教的論考も政治の話も人種の話も食物の話も,差別的にならない様に注意しながら,できるだけ何でも話題にした。アメリカ人は一般的にはフランクで陽気だと思うのだが,プライバシーや差別については大変気を遣って言葉を選んでいることにも気付いた。年齢はまず尋ねない。日本人の好きな,他人の噂話もしない。
そのMとのいろいろな話の中で彼からよく言われた。“I don’t think so,Ken”(俺はそうは思わないよ,ケン)と。その言葉をタイトルにしたエッセイ集,『I don’t think so,Ken』が私の最初に出版した本である。英会話喫茶 Ken’s English Café という喫茶店のような英語塾のような商売をやりながら,日本と欧米の文化の違いをまとめてみよう,できれば本にして再び出版しようと思うようになった。飽きやすい私にしては根気強く資料を集め,辞書も調べ,日本の諺も捜した。理解できない英文諺は知り合いの米人に尋ね,聖書の言葉について牧師にも確認し,出版システムや消費税にも気を使った。そしてやっと完成,出版できた。構成は,英語の諺に聖書の言葉やイソップの話を加え,名言140個をテーマ別に分類し,日本の諺や笑話を対応させ,私の感想を述べたものである。タイトルは,『英語名言の人生論 ― 諺は人間に忖度しない』とした。( Ken’s English Café 090-1800-9295 発行 )しかし,自費出版で消費税も取らないので,書店には置けない。知人友人に個別行商するばかりである。
諺は,人間に優しく配慮はしない。厳しく真実を語る。内容を少し紹介したい。
Marriageの項目で,
“To marry young is too early,to marry old is too late.”(若くして結婚するのは早すぎる。年取ってするのはおそすぎる。)
これは日本の諺には無いような気がする。さらに
“A woman is an angel at ten,a saiat at fifteen,a devil at forty,and a witch at fourscore.”(女は10歳で天使,15歳で聖者,40歳で悪魔,80歳で魔女)
こんな恐ろしい諺も日本には無い,と思う。確かに人間の気持を忖度していない。これが真実だと厳しく言い放つ。我々日本人には理解しがたいものもある。
Deathの項目で,
“Blessed are the dead that rain rains on.”(雨の日に埋葬される者は,祝福される。)
動物愛護は,今日のヨーロッパでは否定できない考え方であるが,不思議な事に英語の諺の中には犬を罵倒し,攻撃する諺が多い。何故なのか私は知らない。最近のアメリカンジョークを見つけたが,実はどう訳したら良いか分からない。
“On the Internet,nobody knows you’re a dog.”(ネットの世界では,お前がdogであることを誰も知らない。)
「あとがき」に書いたが,英語を学ぶということは,英単語を覚えたり英文法を理解することではなく,英語で人生を過ごしている人々の考えを知ることであると私は確信している。テーマは膨大深遠であり,私の勉強不足も理解不足もあって,「木を見て森を見ず」の愚を犯しているかも知れない。それでも本書が皆様の思索のささやかなキッカケとなれば望外の幸せである。