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本物語

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第79号 2024.7.25

我も不良老兵なり

杉浦 捷之

 私もこの2月末に82歳になりました。あっという間に八十路越えの感じでおります。本誌読者の皆様の中にも,八十路を越えられた方には,医者通いをされておられる方,難聴や腰痛・膝痛などで楽しみである友人たちとの会合や行事への参加などの外出をひかえておられる方,また連れ合いの看病,介護をしなければならなくなった方など,行動を制限せざるを得ない方が多数おられるのではないかと思います。私もご多分に漏れず,4年前に不治の病(難病)である膠原病にり患し,何とかステロイドという劇薬で痛みを鎮静化して,それに伴う副作用軽減薬を同時に毎日服用しております。お陰様で全く通常の生活が出来るようになり助かっております。とはいえ基礎疾患者であることは間違いなく,真摯に生活スタイルを見直そうと決意しました。

 先ず,体力,知力,気力の面で充実した生活に徹することにしました。具体的には次のようなことです。
1.体力の維持・強化:毎朝7時から散歩。通常の散歩以外に,散歩道の途中にある階段(約50段)を3往復,更に現 
  在通っている陳式太極拳の3つの型を演じます。凡そ6000歩になり40分を要します。
  次に週3回(天気によりますが)の硬式テニスを愉しんでおります。テニスは長寿に一番効果のあるスポーツだそ
  うです。理由は前後左右に動き詰めだからのようです。
2.知力の回復:物覚え,記憶力がめっきり衰えました。隣にいる知人の名前が直ぐに出てこない,覚えている筈の
  言葉が直ぐに出てこない,新しい言葉が容易に覚えられないなどなど,自分でも不思議に思う程です。それで私
  は,これを克服できる妙案はないかと考え,次のようなことで脳の活性化を図ることにしました。先ず100から7
  を引き,更に順次7を引いていきます。そうして2が残ったところで今度は101から同様に7を引いていきます。
  そして3が残ったところで102から7を引いていきます。こうして惹かれる数を1ずつ増やし引く数を7にして続け
  ていき,残りが0になったら引かれる数をまた100にして繰り返します。そうしますと際限なく続けられます。い
  い加減飽いてきますが,知らず知らずのうちに暗記できるようになります。
  別の方法として,学生時代に知った好きな名作の文章や有名な詩(私の場合は島崎藤村の詩歌「千曲川旅情の 
  歌」など)・短歌,憲法の前文などを暗唱したものですが,それを思い出して諳んじます。間違いなく記憶力の
  回復に役立っているように思います。
3.気力の養成:「やる気」を起こすことです。体力,知力はこの気力がないと続きません。これを日常のルーティ 
  ン・ワークとして続けることです。それには,「やるぞ!」という気迫・根性を持ち続けることが欠かせませ
  ん。

 私は、これらを「3力」と名付けて,知り合いに「3力を以って100歳まで生きよう」と言い続けております。しかし,この3力の充実だけで豊かな生活とは言い切れません。やはりこれらを基にして何らかの活動をする必要があります。先日,「すばらしき高齢時代 我は不良老兵を宣言する」(三九出版発行)を購読しましたが,執筆者の皆さんの日々の暮らし方に感銘を受けました。と同時に「私も不良老兵をやっているよ」と胸を張りました。
 80歳になった時,それまで続いていた大学の同期会が解散となりました。その解散会の時,それではあまりにも淋しいし,皆さん元気なので,「私が呼びかけるので,皆さんまた会いましょう。」と声を上げ,以後年に2回,皆さんにメールで呼びかけて同期会の再開を果たしています。日時や会場は私が勝手に決めているのですが、これも結構楽しいことです。
 また,老後の趣味として洋ランの栽培を始めましたが,ご承知のように亜熱帯植物ゆえに温室が不可欠です。これが灯油の値上がりで四苦八苦。はたまた2年おきに植え替えが必要なので,維持管理に大変な資金と労力が必要です。しかし,手塩にかければ綺麗な花を咲かせてくれ,期待に応えてくれます。これを楽しみに,体力の衰え,老体に鞭打って,(子供たちは,こんな面倒なことは御免蒙ると引き継ぐ者がおりませんので)洋ランとの日々に精を出し,そのこと自体も生きがいの一つにしております。

 このようなことで,私も立派な「不良老兵」であると自画自賛しております。
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