有限会社 三九出版 - 老化抑止は生活リズムを崩さない努力から


















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☆〔新作●現代ことわざ〕

         老化抑止は生活リズムを崩さない努力から

            田中 富榮(徳島県徳島市)

私は今年満八十歳の傘寿を迎えた。振り返ってみて七十歳になったときの気持ちはまだ心に余裕があった。だが今年の誕生日は私も八十になったのか!と人生の終焉がそこへきたような複雑な淋しさと,この齢まで生かさせていただいたと思う感謝の気持ちが絡み合った感情が心の中で渦を巻いていたのである。自分に「誕生日おめでとう」などと言う気にはなれなかった。
実際自分が歳を重ねてみて足腰の弱さや物忘れ,動作の鈍さ,何をするのも面倒くさい,目がかすむ,難聴など,急速に衰えを感じる体力の低下は,これが歳をとるということかを思い知らされるのである。体力の落ち方が徐々に落ちるのではなく,ついこの間までできたことが今日はできないという速さでやってくる。そして転んで骨折をしたり,それが原因で認知症になったりする。それらは自分が歳をとってみて初めてわかる体験であり,体力の衰えとともに精神的にも親しかった人との別れによって不定愁訴が付きまとう。老いは孤独を生きることであり理由がない淋しさに悩まされる。生活のリズムを狂わせる原因の一つが睡眠を妨げる夜間のトイレである。2~3回は起きるのでぐっすり眠れない。そして部屋の掃除がたいそうになってきた。この二つが老齢の身に負担を感じるのである。
しかし歳を重ねるのはマイナスばかりではない。生活が落ち着き自分の自由な時間ができて楽しい。残りの人生をどのように生きるか,泣くも笑うも自分次第。その生き方で大きく変わる。これからますます体力的には厳しくなってゆくであろう。独居老人である私が一番気に掛けているのは「寝たきり老人」にならないこと。そのためには自分でできることは人に頼らない,筋力低下予防に朝夕の散歩を欠かさない。認知症予防には川柳教室と生け花教室に通い,同じ趣味を持つ友達との会話を楽しむ,わが家ではもう十年間聖書を読む会を続けて勉強している。私はパソコンが大好きなの
で毎日友達にメールして近況報告を楽しんでいる。これが私の生活リズム。これを崩して体調不調,老化現象痛感の経験もある。これからもこの生活リズムを崩さない努力が大切であり,続けてゆきたいと思っている。体力は落ちても頭は若く保ち,趣味に燃え八十の坂を登って行こう! 私はどんな老人になってゆくのか楽しみでもある。 
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