有限会社 三九出版 - ☆特別企画☆東日本大震災  光明と不安を感じつつ


















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                     光明と不安を感じつつ
                             脇 稔明(愛媛県松山市)

 震災後一年経った平成24年3月12日の新聞では,死者15854人,行方不明者3155人,避難・転居者343935人,負傷者26992人,全壊戸数129107戸(復興庁・警察庁のまとめ)と発表されている。未曾有のこの大震災の発生は被災地だけでなく日本国中に絆の尊さと原子力発電の恐怖を同時に痛感させた。そしてそれは一年が経過した今日まで続いてきている。50万人に近かった避難者は一年経った今日でも未だ30万人余の方々が仮設住宅や全国各地で避難生活を余儀なくされている。この暗く苦しい状況の中でも,私は一瞬の光明を見出せて嬉し涙に浸ったことも何度かあった。東北や北関東を中心に全国各地に避難された方々の生活の実態が毎日のように報道されてきたが,被災された方々への心温まる迎え入れとその後の交流の姿を見て,改めて絆の尊さを大切にして友愛の気持ち溢れた応対には心打たれた。又,避難されている方々の逆境にもかかわらず明るく前向きに立ち向かっていく姿を見て,日本人の芯の強さに驚きさえ感じた。
 それにつけても,四方を海に囲まれ,火山帯の突っ走っているこの日本列島だから自然災害の発生は仕方ないとしても,併発して国内はもとより世界中に波紋を広げた東電福島原子力発電所の破損による放射線物質の流出事故の根本的な原因は徹底究明されなければならない。思うに,戦後焼け野原の中から懸命の努力によりわずか30余年の間に世界一と言われる経済大国に日本はなったが,その限りない市場経済の拡大政策は経済効率第一主義の考え方の国民にし,又限りない科学の進歩も人間をどんどんコンピュータ化していった。今回の原発事故は自然の神様があくなき物の豊かさへの追求に暇ない日本の今の姿に対して「立ち止まって考え直せ!」とお灸を据えられたのではないか?と思われて仕方ない。私の恩師故難波田春雄は40年も以前に“豊かな日本→愛と正義の満ち溢れた美しき日本へ”と提唱されていた。今まさに日本国のあるべき姿を政界も財界も,全国民挙げて見直す時に来ているのではないか。
 原発不要論を訴えた菅前総理が降板。野田総理に代わった途端,絶対安全な設備にしてと原発復活ムードを漂わせているが全くの論外である。どんな強固な建造物でも寿命はあるし,今回以上の震災は絶対起きない保証など誰も出来ないからだ。喉もと過ぎれば…では恐ろしすぎる。天災は仕方ないが,人災は避けたいものだ。
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