有限会社 三九出版 - 「竹の子医者」の日々  その14


















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                  「竹の子医者」の日々 その14

                           星 康夫(東京都世田谷区)

○わが養生の旅○……昨年の夏も皆さんの「お盆休み」から遅れること1週間の夏休みを取りました。一昨年は本誌45号の「竹の子医者の日々―その11」に書きましたが,三陸に出かけ,故郷の惨状と,その復興の遅さに,心を痛めて帰ってきました。昨年の夏休みは,長崎県の五島列島に出かけてきました。8月19日出発の2泊3日の忙しい旅でしたが,その海の美しさ,その海に溶け込んだ小さな美しい数多くの教会を巡り,心安らぐ時を過ごしてきました。羽田空港を10時に出発し,長崎空港に12時到着。午後のジェットフォイルに乗船し,1時間半で福江島の福江港に到着。因みに船はこのシーズンは,午前2便,午後1便です。その日は福江の宿に1泊。目の前に福江城(石田城)を見下ろす部屋でした。福江城は外国船の襲来に備えて,国防のために幕末に築城された,お城としては最も新しい城だそうです。遣唐使等もこの地が国内の最後の寄港地だったとのこと。この先はもう東支那海です。最近この海に種々の問題が起きております。改めて国防ということも考えさせられました。
 8月20日,朝9時出発の観光バスで福江島の観光に出発。先ずは午前のコース。乗客は私と妻の2人だけ。時間が無いので車窓からの見物が多いのですが,堂崎教会,ここはゆっくりと見ることができました。赤レンガ,ゴシック様式の聖堂で,五島カトリックのシンボル的教会堂で,波静かな入り江に面して,内部は資料館にもなっていました。午前中にこの他に鐙瀬溶岩海岸,鬼岳を回り終了。港で一休みして午後のコースの出発待ち。午後のコースは長崎港から到着したばかりの5名の方と一緒になり,島の西部を回りました。約1時間の乗車で,島の中部を横断し,絶景の大瀬崎灯台に到着。井持浦教会,水の浦教会を車窓より見て福江港到着。ジェットフォイルに乗船し,上五島に向かう。上五島の奈良尾港に着き,ホテルの迎えの車に乗る。これも乗客は2人だけ。「ホテルまで,どのくらい時間がかかるのですか」と聞いてみました。「約1時間です」と。結構大きな島です。十字架の形にもよく似ているので「クロス・アイランド」とも言われるそうです。(因みに,福江島は車で走ると東西約1時間で,上五島は南北約3時間だそうです。)
 ホテルに入りテレビを見ると,広島の土砂災害の様子が映っていました。その豪雨の帯の西の端が五島列島にかかっており,その夜のホテルの窓に当たる雨の音は強烈でした。その被害の大きさは,帰京後にますます拡大し驚きました。
 8月21日,今日は上五島を観光タクシーで回ります。先ずは青砂ヶ浦天主堂。ホテルを出発してすぐに豪雨・雷と大荒れの天気。天主堂にしばらく避難しました。(まさに神様、神様お助けくださいです)。次に世界遺産暫定リストに登録されている頭ヶ島教会に向かいました。砂岩を積み上げて造った全国でも珍しい石造りの教会堂。そこへのアプローチも,とっても素敵でした。跡次教会からは眼下に「上五島洋上石油備蓄基地」の大きなブイが見られました。中の浦教会を経て若松地区を結ぶ若松大橋から,この地区の中心となっている桐教会を遠望し,奈良尾港から長崎港へ。フェリーで約3時間。船上から見る長崎の市街は目の前に迫る山が全て住宅。以前に山の上から見た港の夜景を思い出しながら,大きな驚きでした。帰りの飛行機も予定通りの帰京。 「ア〜ア〜長崎は今日も雨だった」だけでなく,晴れ間も沢山あった楽しい旅でした。
○“ネコっ娘(こ)”と“孫娘”に思う○……「猫が来た,猫が来た。静岡県から猫が来た」12月初め,静岡県の三島から子猫が我が家にやって来ました。新参者ですのでご挨拶をさせます。「ゴメンナスッテ。姓は三島、名はミミと申します。富士山の伏流水で産湯を使い,駿河の海のおいしい魚を食べ,数ヶ月育てて頂きました。可愛らしいキジトラの女の子です。野良生活も数ヶ月ありましたが大変なベッピンさんですので,「ミス野良猫コンテスト」があれば一位だと飼い主さんは自慢するのですが,それ程でもニャーですよ。華のお江戸にやって来て,まだ何も分からない若輩者ですが,今後どうぞよろしくオネガイ,モウシアゲマース」。と書き終えたところで筆者は怒鳴っていました。「コラー,テーブルの上にあがるんじゃない!!」。
 昨年は夏の広島の土砂災害,木曽の御嶽山の噴火,さらに長野県北部の地震と,大きな災害が続きました。2月の大雪も大変でした。年も明け,今日で正月休みも終りです。階下に近所に住む2歳半の孫娘が来て騒いでいます。「アリーノママーノ」と「アナと雪の女王」の一節を歌っていたかと思ったら,次は「ゲラゲラボー,ゲラゲラボー」と「ようかい体操」をドンドンと音を立てて踊っています。この1年,誰も病気をせず,そして世の中が静かに過ぎてくれることを祈りながら筆をおきます。


 
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