有限会社 三九出版 - 52年振りの沖縄回顧旅行(2)


















トップ  >  本物語  >  52年振りの沖縄回顧旅行(2)
☆《自由広場》

            52年振りの沖縄回顧旅行(2)

            岡本 崇(京都府木津川市)

沖縄回顧旅行の6日目になる2015年6月27日,私達52年前と同じメンバーを乗せた那覇空港15時15分発のANA1727便は,50分で宮古空港に到着。52年前は船で12時間もかかったのが夢のようだ。空港内のレンタカーは完売だったが,何とか軽自動車を借りることが出来て,3日間にわたり,52年前の宮古島の思い出を求めて200㎞も走破した。
まず,鎮西源八郎為朝の末裔と伝わる新城武君の実家に寄る。52年前は吉野食堂と云って彼の母が食堂を経営していた。伊良部島などから船で宮古島の高校に通学していた学友達がその母に可愛がられたと聞く。また,当時,私達が那覇でお世話になった宮沢(荷川取)盛次さん ― 宮古島出身で私達と大学の同期生である宮沢盛文君の兄上 ― が,宮古島の母校の鏡原小学校に本を寄贈されて,「宮沢文庫」として親しまれているという話も聞く。
52年前の宮古島では学友の新城武君の実家に泊まり,野村レストランで食事をしたが,その時は色紙にサインを求められたことを思い出す。今回も,夜は思い出の野村レストランで夕食をとる。52年前の写真を見せて店員に話すと,野村安潤社長が会合を抜けてきて下さった。当時お会いした店主は野村チヨさんであったが,その頃,子息の現社長は同じ敷地内にあった「野村酒造場」に居られたとのこと。祖父の野村安重氏が,大正13年に宮古島に最初に創業した米を原料とする泡盛工場である。社長は私達と同じ,太平洋戦争が始まった年の生まれ。チヨさんは私の母より1歳年上であるが,同じ98歳で亡くなられたとのことで大変親しみを覚えた。野村安潤社長の先祖,野村安趙氏は,琉球国王に仕え,王の命で三線の楽譜を大衆向けに改良・編集した音楽家。琉球古典音楽野村流伝統音楽協会宮古支部や,琉球古典音楽野村流保存会宮古島支部があるらしい。
28日,ホテルで朝食を済ませてから宮古神社に参拝する。宮古神社は国内最南端の神社。沖縄本島の「波上宮」より勧請された。熊野三神と豊見親三神を祀っている。薩摩坊津の頼重が波上宮の別当寺として波上山護国寺(高野山真言宗)を開山。王の祈願所とした。坊津は飛鳥時代から開かれていた港で,三重県の「安濃の津」,福岡県の「博多の津」と並んで,「日本三津」と呼ばれ,大陸への玄関口として栄えた。熊野神を祀る神社は日本に3000社あると云われるが,その昔,高崎城主も熊野権現を城中に勧請し,「熊野神社」と号した。高崎城のあった群馬県と長野県の県境の軽井沢には,本宮の中心が,長野県と群馬県の境になっている神社がある。群馬県側では「熊野神社」,長野県側では「熊野皇大神社」と呼ばれ,別々の二人の宮司が居られるとか。
52年前の訪問時の宮古島は大干ばつで砂糖キビの収穫が半減であったが,今はスプリンクラーが設置されていた。宮古島と近くの島を結ぶ橋は6655m強もあるのには吃驚。神武天皇が和歌山と伊勢を結ぶ中間点が「六合(くに)の中心(もなか)」であると云って日本の都を設けてから久しい。その京都・奈良・和歌山と紀伊半島のど真ん中を貫く「京奈和自動車道」が,未だに工事中であるのと比べると,沖縄振興策が優先されているように感じられた。9時半頃,宮古神社を後にして,砂山ビーチ・池間大橋・池間灯台・アイランドテラスニーラ・狩俣地区・西平安名崎・島尻マングローブ・大福マンゴー園(マンゴーを買う)・新城海岸・吉野海岸・オーシャンリンクスゴルフ場・保良漁港・東平安名崎・來間大橋・伊良部大橋などを見て回った。18時過ぎからは「宮古毎日新聞社」の取材を受け,野村社長の経営しておられる「あばら樹」で19時頃から夕食をした。
その折,52年前に訪問した時,野村レストランでお会いした,貞さんを呼んで頂き奇跡の再会が出来た。昔の思い出話に花が咲いた。3時間余りも話し込んだ後,貞さんを近くにあるご自宅までお送りしたのは22時頃だった。
29日,市役所通りの「ホテルピースアイランド」で朝食をした後,チェックアウト。伊良部大橋を渡り,下地島や伊良部島の中で,昨日行けなかった所を回る。白鳥崎のエメラルドグリーンは美しく,沖ではダイビング船が散見された。島内を見学していたら,突然,昨夜お会いした貞さんから電話があり帰路お寄りすると,パッションフルーツと黒砂糖をお土産に頂いた。宮古島に戻り,レンタカーを返却したのは11時半頃。野村安潤社長から割引券を頂いていたので,「空港レストランぱいぱいのむら」に行って,宮古島の皆様の温情に感謝を捧げ,3人で沖縄旅行打ち上げの乾杯をする。
宮古空港12時55分発,那覇空港行「ANA1724便」は定刻に出発。那覇空港からは各々定刻より30分遅れで出発し,羽田と関空に無事帰り着いた。
投票数:39 平均点:10.00
前
IT時代の落とし穴 
カテゴリートップ
本物語
次
高 齢 者 の 抱 負

ログイン


ユーザー名:


パスワード:





パスワード紛失